蔵元訪問 <2004年2月〜天吹〜
今年も行ってまいりました、恒例の蔵元訪問。
まずは佐賀県の「天吹」です。

天吹酒造合資会社
〒849-0113 佐賀県三養基郡北茂安町東尾2894
TEL 0942-89-2001 FAX 0942-89-3450 info@amabuki.co.jp
http://www.amabuki.co.jp/
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行ってまいりました。
最近のなでしこ酵母を使用している全国三十数社の中でも
人気の高い「天吹」。
福岡から車で約1時間ほど。
周りの風景をしっかり見ようと思っていても、残念ながら睡眠中。
さてさて蔵の周りには合鴨を使っての稲作作りの看板も立っていました。

当日は土曜日で酒蔵開放もしていました。
次から次へと人がやってきます。
おもむろに蔵の中へ。
まずあったのが試飲販売のコーナー。
ワイングラスが置いてあり(もちろんキキチョコも)、天吹の
香りや味わいを楽しめるようになっている。


さてその次に中庭に通される。
昔から水を貴重なものとして扱い、しっかり溜め込んでいた後もうかがえる。
その仕込み水を飲ませてもらった。
実に柔らかい。
そしてスムーズ。
あのお酒のルーツはまずここにあるのでしょう。


今回蔵の中を案内してくれたのは木下壮太郎常務。蔵に戻って
約6年、弟さんが戻ってこられてから花酵母を使うようになったらしい。
ご案内のお話の中でよく出てきた言葉が「効率化」。
たとえば洗米においては、以前は三人で行っていた作業らしいが
やはり三人それぞれでバラバラな状況になるらしい。
そこで洗米機を導入したとか。

その洗米の傍らにお米袋が置いてある。
ナニナニ「○クレン」と言う字と「きらら397」の文字が読める。
うかがうと特定名称には使ってはいないらしい。
まあ、造りに使っていると言うことも聞き忘れましたが・・・


とにもかくにも広い蔵の中。
昔ながらの蔵も併設されている。
今は貯蔵庫に使われているらしい。
佐賀県内でも1.2を争うほど古い鉄筋コンクリート製だそうだ。

今造られている仕込み場も広いのなんの。
今まで見てきた蔵の中では一番広いでしょう。
しかも全てが集約されているのですから・・・
まあ、広い。
そして綺麗。
聞きますと、この整備された環境の中で造ると気分も変わるとのこと。
納得いきます。


さて仕込みです。
全てのタンクが600キロの小仕込みでした。
この小仕込みこそ花酵母には大事とか。
タンクの中はびっくりです。
普通は日によって高泡とか表面上には大きな変化があるはずなのですが・・・
この酵母のタンクには大きな泡がありませんでした。
ごくわずかに小さな泡がある程度。
見事に表面には膜が綺麗に張られ・・・不思議でした。
この膜の中に華やかな香りが閉じ込められているのでしょうね!
使用米には山田錦をはじめ、美山錦やそのほかの米も使っていました。
タンクにはビニールの蓋があるのですが、その中も丁寧に見学の方にも見せてくれていました。

麹室を忘れていました。
まあ、ここも綺麗な設備。
麹造りにおいても最新の技術や設備がありました。
米の温度管理はもちろんセンサー等により管理され、室内の温度管理も
パネルヒーターになっていました。
そして何よりもきつい作業の【床返し/切り返し】です。
これにはステンレス製の物が使われていました。
蔵見学に来られた他の蔵の方々も蔵に帰って早速導入される方が多いと聞きました。
経験したことがないのですが、かなり楽らしいです。

もちろん絞りもコンピュータ制御。
冷却装置ももちろんです。
人の手が一番な部分には惜しまなく労力を注ぎ、コンピュータの正確さ
をも使い、効率よくお酒が造られていく。

お酒の酵母もバイオで次から次へと開発される中、自然界の酵母に着目し
さらにより自然に近い造りをもしていく。
ここの蔵は古くからの伝統と最新式の技術をふんだんに使って酒造りをしているイメージです。


最後に蔵の2階に案内されました。
ここには米焼酎の蒸留器もありました。
めったに使うことがないらしく、常務いわく、焼酎の在庫がなくなったら造るだけなので
下手をすると10年に一度くらいしか使わないとも行っておりました。
まあ、焼酎を中心に造ってらっしゃる蔵は別とは思いますが・・・

華やかな香りと口の中の広がり、そして旨みのバランスが絶妙な「天吹」。
またファンになった蔵が一つ増えてしまいました。


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